株式会社オリエンタルランドが2020年10月29日(木)にプレスリリースを配信しました。
内容は2021年3月期の第二四半期の決算についてのリリースとなります。
新型コロナウィルス感染症の影響による臨時休園が会社の収益を直撃しました。
2020年7月1日より入場制限(通常時の50%)をかけたままではあるものの営業再開となりましたが、すぐの回復とまではいかず、厳しい道のりを歩むことを改めて証明するような決算発表となりました。
当期純利益で511億円(上期300億、下期211億)の赤字を見込むというリリースだけではなく、配当は年間で44円の配当を26円に下げ、役員報酬も代表取締役2名が60%の減額、常勤取締役が55%の減額、執行役員と監査役が50%の減額という厳しい発表となりました。
金融機関から大型の資金調達を行ってはいるものの、経営状態の厳しさは依然変わらず、経営陣の危機感も相当な印象を感じる第二四半期の決算発表となっております。
OLCが上場来初の最終赤字へ 2021年3月期の連結最終損益が511億円の赤字の見通しに
オリエンタルランド、初の最終赤字 21年3月期https://t.co/o6dwYhWDQe
— 日本経済新聞 電子版 (@nikkei) October 29, 2020
売上高は前期比60%減の1854億円、営業損益は514億円の赤字という見通しのようです。
営業利益、昨年度は968億円の黒字でした。新型コロナウィルス感染症の影響がいかに大きいかがよくうかがえる内容となっております。
入場者数は前期比67%減の950万人を見込むとのことで、東京ディズニーランドが開業した1983年でも990万人だったことを考えるとインパクトのある落ち込みであることが伺えます。
・ OLC取締役、入園者数の回復「時間がかかる」(日本経済新聞)
さらに役員報酬も大幅な減額となります。
第一四半期に発表されていた代表取締役の減額幅も30%から2倍の60%になるなど、厳しい選択を強いられている格好となります。
株式会社オリエンタルランドのプレスリリースは上記リンクにまとまっておりますのでご確認ください。
また、こんなタイミングでも配当が出る(44円→26円)こと自体凄いことではあると思いますが、資金的に余裕があるという楽観的な見方もできますし、また株主への還元も経営責任ということを考えれば、資金の有無にかかわらず出すという意味では、上場企業の労苦が忍ばれる配当の発表となっております。
ダイナミックプライシングや有料ファストパスにも言及
経営改善策として日本経済新聞では下記のような報道も取締役からのコメントとして掲載されております。
今後の焦点は、需要などによってチケット価格が変わる「ダイナミックプライシング」の導入だ。
繁忙期と閑散期で値段を変える手法で、収入にはプラスに働きやすい。
アトラクションに待たずに乗れる「ファストパス」の有料化も含め「できるだけ早く導入したい」(横田取締役)という。
ここで改めて「ダイナミックプライシング」や有料ファストパスの話題が出てきております。
有料ファストパスは大阪にあるユニバーサルスタジオジャパンでは既に導入済みですが、
特に現在のような入場者数に制限をかける取り組みも業界団体で打ち出されたレギュレーションにのっとって行っているだけなので、ここで改めて規制緩和にならないと100%には戻らないことを考えると、いわゆる閑散期でも一定数の集客を見込み、かつ客単価を上げられるであろう、これらの施策は早々に導入される可能性はあり得ます。
いずれにせよ、経営状況の厳しさは変わりません。
とはいえ、こういう状況でもファンタジースプリングスの開発やトイストーリーホテルなど、新しい「体験価値の向上」には投資を惜しまない姿を見せるなど、力強いメッセージを投資家とファンに対して送っているところは、好印象を持ちます。
これから冬場を迎え、インフルエンザの流行期にも差し掛かってくる中で、新型コロナウィルス感染症がどう我々の生活に影響を及ぼすのかもわからない中、見通しの効かない今を考えると、今後のパーク運営もかなり厳しいものになると私は想像しますが、明けない夜はないと信じて今は新型コロナウィルス感染症による猛威が1日も早く落ち着くことを願うしかないのかもしれません。
2021年3月期の連結最終損益が511億円の赤字の見通しで、最終赤字になるのは上場した1996年以来初めてとのことなので、大きなインパクトのある決算発表になりました。
今後のOLCとTDRの動きにしっかり目配せをしておく必要性があると考えます。