東京ディズニーリゾートを運営する株式会社オリエンタルランドに所属する契約社員の女性に労災認定の報道が朝日新聞や日本経済新聞他、各メディアを通じて報道がありました。
ディズニーキャラクターに扮し、過重労働の結果発生した残念な事件です。
株式会社オリエンタルランドは「過重労働との指摘は受けておらず、安全配慮義務違反もない」と反論しつつも「真摯に受け止め、対策に万全を期す」とのコメントを残しています。
ディズニーキャストに労災認定
大変に残念な報道は2017年11月22日の朝日新聞・日本経済新聞等多くの新聞やニュースメディアで取り上げられました。
各種報道を確認するとこのキャストさんは東京ディズニーランドによく出演していたようです。
同社や組合によると、女性は2015年2月から勤務し、さまざまなキャラクターの着ぐるみ姿でパレードやショーに出演。
着ぐるみは重さ10キロ前後で、16年11~12月には1回45分間のクリスマスパレードなどに約50回出演していた。
出演中は元気よく見えるよう、腕をしっかりと上げておく必要があったという。
女性は16年11月ごろから、首から左上腕にかけてと手指に違和感が出始めた。
17年1月には眠れないほどの痛みが出たため、病院で受診。神経や血管が圧迫されてしびれや痛みが生じる「胸郭出口症候群」と診断され、同社に申し出て休職している。
症状は完治していないが、復職は可能との医師の診断があり、業務量を減らしての職場復帰を希望。会社側と協議している。
出典元:日本経済新聞電子版「TDL着ぐるみで労災認定 契約社員の女性、腕に激痛 」 2017/11/22 17:51配信
10kgにも及ぶ重さが身体にのしかかっている状況で「クリスマス・ストーリーズ」に出演していたのでしょう。
健康状態が心配な状況であり、かつ株式会社オリエンタルランドも誠意ある対応を行うべき事案と言えましょう。
朝日新聞のPDFデータは上述の組合になる「なのはなユニオン」のHPに掲載されております。
レアケースでも労災認定が認められた理由
今回キャストさんが今回患ってしまった病は「胸郭出口症候群」という聞きなれない病気です。
そして業務中の怪我ではなく、過重労働の結果、罹災したという結論づけは極めてまれな判断となります。
医学的な根拠が乏しいからだそうですが、因果関係が認められたということ自体画期的ではないでしょうか。
そして、もう1つ。
株式会社オリエンタルランドは東京ディズニーリゾートという世界でも有数のテーマパーク運営を行う会社です。
一種の"見せしめ"と言ってしまっては言いすぎなのかもしれませんが、ここ数年は労使問題で若干メディアに取り上げられていることもあり、結果として目立った報道になったと推測されます。
「胸郭出口症候群」とはどういう疾患なのか?
神経系統の疾患ですが、「斜角筋症候群(しゃかくきんしょうこうぐん)」「過外転症候群(かがいてんしょうこうぐん)」という神経が様々な原因で神経の通り道が狭くなり、結果、血管や神経を圧迫。肩こり、腕や手のしびれ、手の血行不良等の症状を引き起こすようです。
また、重症化すると耳鳴りやふらつき感、後頭部から耳、口のあたりのしびれ感まで発症するそうです。
報道を見る限りでは、今回罹災したキャストさんの症状はかなり悪化していたことが伺えます。
・参考:「胸郭出口症候群」|日本整形外科学会 症状・病気をしらべる
OLCはブラック企業なのか
この記事だけを見て一意的な判断は難しいのですが、キャストさんの待遇をめぐる様々な報道を考えると、決してよい環境で仕事をさせているとは言いにくい印象を受けます。
そして訴えがあって以降、OLCサイドですみやかな判断がなされなかったことは問題視されてしかるべきでしょう。
労使の問題が株価に影響をあたえることはほとんどありません。
しかし、パブリックイメージを大事にするサービス業・エンターテイメント業の会社としては、コンシューマーに対して良い印象が与えられているとは決して思いません。
これからもこういう残念な情報が出てくるかもしれません。
ゲスト同様にキャストさんにもっと親切で配慮のある対応を株式会社オリエンタルランドの皆さんにはお願いしたいものです。
最後に、今回罹災されたキャストさんは1日も早く回復してほしいものです。
そしてもし可能であれば再び東京ディズニーリゾートで臨んだ仕事が出来ることを祈るばかりです。